子どもみたいな

「子供みたいに話すのね。」
彼女のその言葉で僕は正気に返り、自分の行いを顧みて赤面する。完全に幼児退行していた。あのね、ぼくね、幼児退行してたの。そしたらね、子どもみたいだねって。マザー・コンプレックス。母親代わりの存在を異性に求めていたのかもしれない。そんなことでは、いけない。一人の男として自立していなければならない。一人で生きていける強さと、他人を受け入れる包容力。腐り切った世の中を渡り歩いてゆくのだ。苦汁を嘗めさせられても耐え、虎視眈々と機会をうかがう。僕は、六歳児。