2010年適当に選ぶベスト10
ちなみにラヴィッツ!でMaltine Recordsの連載、パーソナルエフェクツ!内で5枚挙げるディスクガイドもやらせていただきました。
パーソナルエフェクツ 番外編『EXTRA DISC GUIDE』 | ラヴィッツ!
ではどうぞ。
新譜というものを年に5枚ぐらいしか買わない人間なので、2010年に出会った音楽、再発見した音楽で書きますし60年代70年代の録音まみれになります。
新譜は時間による淘汰が行われていないのに値段が高いので真面目に漁るには辛すぎる。それにまだ聴くべき過去の遺産は大量にあるから。もしくは僕はもうジジイになってしまったから。
能書きはいいですね。去年お休みした自分にムカつきながらちゃんとまとめます。
1.Pablo Casals / Complete Published EMI Recordings 1926-1955
EMI Classics (2009-06-16)
売り上げランキング: 11811
現代のチェロ奏法を切り拓いたチェリストの神、パブロ・カザルスのEMI録音が9枚組で3000円でありんす。
J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲は生涯のマスターピース、大公トリオによるベートーヴェンのピアノ三重奏等々超クソ古い超名演の山。
何より安いってのはいいなー。SP盤の録音に耐えられない人には全くオススメしません。
2.Raul De Souza / A Vontade Mesmo
リズムセクションはサンバランソ・トリオ、後にマイルス・デイヴィスのバンドやチック・コリアのリターン・トゥ・フォーエヴァーにも参加するアイアート・モレイラの強烈なパーカッション。
全曲テンションブッチ切り、特に表題曲A Vondade Mesmoとデューク・ジョーダンのビバップ曲Jorduは鼻血モノ。
3.Penguin Cafe Orchestra / When In Rome
ブライアン・イーノのオブスキュア・レーベルから出ていた中で楽器編成としては普通のインストゥルメンタルをやっていたペンギン・カフェ・オーケストラ。
和み系室内楽はどのアルバムも捨てがたいのだけれど、ライブ盤であるWhen In Romeはマイクが拾う空気感がスタジオ盤とは全く違い、マイクが拾うアンビエンスがまさにアンビエント。
もう一枚のライブ盤、Concert Programも近いクオリティを持っていた記憶があるけれど、When In Romeの方が内容の濃さとアルバムのまとまりの良さで上かなと。
4.The Pentangle / The Pentangle
Sanctuary UK (2008-02-26)
売り上げランキング: 74537
解散までの前作が全て名盤と言えるのだけれど、それぞれのエッセンスのバランスとやや渋な味の1stが個人的にツボ。
ギタリストのバート・ヤンシュとジョン・レンボーンはアコースティックギターの超絶テクニシャンだし今堀恒雄(菅野よう子の曲全般でもいいか)のアコギが好きなギターキッズも要注目。
5.Mahavishnu Orchestra / The Inner Mounting Flame
以降のソロでは無意味に弾きじゃくってしまう時もあるジョン・マクラフリンの超絶技巧が(ビリー・コブハムの太鼓祭りも)バンドと完全に噛み合ってマハヴィシュヌ・オーケストラというバンドで一つの音楽になっている。
プログレ的でありながら難解ではなく、しかし軟弱でもなくゴリゴリ。そりゃまぁ名盤として語られますわな。
Columbia/Legacy Euro (2010-04-23)
売り上げランキング: 18467
6.ヴァルヒャ / J.S.Bach 2声のインヴェンション 3声のシンフォニア
他のバッハの鍵盤楽曲と比べて軽視されているのだけれど、ふと手にとったヘルムート・ヴァルヒャの演奏、このチェンバロ(ハープシコード)の音色で聴くとこれがとても素晴らしい作品に聴こえる。
ピアノのお稽古を受けていた人にはトラウマ曲なのかもしれないけれど、名手が演奏するとこうも変わるものなのかと。
7.Andrew Hill / Smoke Stack
Blue Note (2006-01-13)
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定番は多分Point Of Departure、Judgement!、Black Fireあたりからになるのだろうけれど、ピアノトリオ+ベースもう一人というヘンテコな編成のこのアルバムをなんとなく多めに聴いた。
63年にはもう非整合ポリリズムを音楽的に平然とやっていたりするのである。そんでもって理屈じゃなくてそれが音として超クールなわけである。ロイ・ヘインズのドラムが超クールなわけである。今年85歳のロイ御大のライブを観たが相変わらずヒップであった。で、昔もヒップなのである。
凶悪なピアノトリオを求める方にこの一枚。
8.O.S.T. (百石元) / TVアニメ「けいおん!」オリジナルサウンドトラック K-ON! ORIGINAL SOUND TRACK
劇伴ってDTMのお手本のような曲やらクラブミュージックを換骨奪胎した楽曲が多くてサントラで聴くと楽しい。アニメが流行ったからってわけでもなくサントラも良かったです。
"Hot Butter - Popcorn"のパチモンの"ピンチ大好き!"、劇伴2ステップな"Emerald green"、ボサ、スカ、レゲエその他色々。アーメンブレイクを使った"ガッテンだ!"は2期のサントラの方に入っていてそれだけ残念。
9.坂本龍一 / 1996
ヴァイオリニスト、編曲家(4 heroのストリングスアレンジなど)のエヴァートン・ネルソン、ブラジルの変態チェリストジャキス・モレレンバウムと共に、坂本龍一自身の代表楽曲をピアノ三重奏のフォーマットで演奏したアルバム。
ピアノ三重奏というフォーマットによって坂本龍一の作編曲能力が十二分に発揮されている。あと二曲だけ代打でヴァイオリンを弾いているデヴィッド・ナディアン(NYフィルの主席!)の破壊力も強烈。
ジャキスのチェロもその後の坂本龍一とモレレンバウム夫妻のボサノヴァバンドの時より遥かにギラギラと尖っている。
10.Choro Club / Braziliana
ショーロ・クラブのアルバムを最近かき集めているけれど、今のところこれが一番気に入っている。"赤い花"、"Changeable Weather"、"Antipatia"などキャッチーで強烈な佳曲が多く、ショーロ・クラブの三人の連携とその世界に見事入り込むゲスト陣、アンサンブルのまとまりやメンバー同士の共鳴のようなものが飛び抜けている。
ちなみにこのアルバムはリミックス盤が出ていて、そちらも面子が豪華。福富幸宏のフュージョン/ブレイクビーツや半野喜弘のアコースティックトロニカなリミックスもかなり良かった。
入れようか迷っていたら10位からはみ出したけど6位あたりから適当なのでその他の候補
Bob Dylan / The Freewheelin' Bob Dylan
The Pentangle / Cruel Sister
Castle Music UK (2008-03-12)
売り上げランキング: 12485
John Renbourn / Sir John Alot Of merrie Englandes Musyk Thyng & Ye Grene Knyghte
Castle Music UK (2003-02-04)
売り上げランキング: 125059
The Who / Live At Leeds [Deluxe Edition]
Mca (2001-09-18)
売り上げランキング: 26658
Bob Marley & The Wailers / Catch The Fire [Deluxe Edition]
V.A. (Trojan) / Let's Do Rocksteady: The Story of Rocksteady
Sanctuary Records (2002-08-27)
売り上げランキング: 255108
バーンスタイン, シカゴ交響楽団, ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / ショスタコーヴィチ: 交響曲第7版 第9番
ムラヴィンスキー, レニングラード管弦楽団 / チャイコフスキー: 交響曲第4-6番
本名徹次, 日本フィルハーモニー交響楽団 / 芥川也寸志: 芥川也寸志の芸術/蜘蛛の糸~芥川也寸志管弦楽作品集