監修:宮坂不二生 発行:ボンバ・レコード / ボサノヴァ・レコード事典

坂不二生監修『ボサノヴァ・レコード事典』(ボンバレコード発行)。ボサノヴァのアルバムをガイドする希有な書籍。574枚分を紹介している。 今やボサノヴァ大国と呼ばれる日本で、まさに日本人にしか成し得ないボサノヴァに関する濃い内容の本が、満を持して登場した。それがブラジル音楽の作品を積極的にリリースするインディペンデント・レーベルでもあるボンバ・レコードから出版された、この『ボサノヴァ・レコード事典』である。 この本はそもそもボサノヴァのアルバムを長年に渡り収集し続けている宮坂不二生氏が、ご自身のコレクション(ボサノヴァだけで約2000枚)を何らかの記録として残したいというお気持ちからスタートしたそうだ。最初はジャケット写真を載せるだけの本にする予定だったのが、いつの間にか次第に「ボサノヴァ・レコードのガイドブック」の企画となっていき、その間に約10年の歳月が流れていったという。それがようやく形になって出版された今、監修者でもある宮坂氏にとっては万感胸に迫るものがあるに違いない。 さて、この本の内容の紹介に移ろう。 この中で紹介されたレコード(LPまたはCD)の種類が574枚あり、もちろん今でも入手できるものもあれば、入手困難なレア盤となって非常な高値を呼んでいるものもある。むしろそういった盤のほうが多いかもしれない。アーチストのファースト・ネームでアルファベット順に紹介されていて、全部で191アーチストが選ばれ、1人のアーチストのレコードを1人の書き手が全て担当するという構成になっている。例えば、バーデン・パウエルの作品はケペル木村が全て紹介している、といった形になっている。
http://www.mpb-store.jp/database/Book/001099.html

ブラジルとは地球の裏側でありながら、最早ブラジルと同等またはそれ以上にボサノヴァの愛される国となった日本。ボサノヴァ生誕から40年以上を経て*1超定番から幻の激レア盤までを徹底的に的確にレビューしたディスクガイド。発行はP-VINEと並ぶ日本の良心レーベル、ボンバ・レコード。


最初、図書館でこれと決定盤 ボサ・ノヴァCD100選のどちらを読むかを読むか迷いペラペラめくったところ「決定盤〜」は少ない100選の中にカシオペアPat Methenyを入れている*2ボサノヴァ・レコード事典に関しては量も多くレビューも複数の人間が担当、プレ・ボサノヴァからMPB、ジャズ・サンバまで幅広く全体の流れを抑えている点でこちらを選択。
ボサノヴァの歴史の流れを追いたいのにレコード事典を借りてしまった僕の愚行ではあるのだが、時代による流れやジャンルの分岐に関しては把握仕切れなかった。
ただ、何度も読み返す価値があるほどの圧倒的な情報量、そしてアルファベット順なので気になるときにパッと開ける事典としての価値、ジャズに比べてブラジル音楽に関する書籍の情報の少なさなどから考えて恐らくこれがベストの本であろう。
ボサノヴァを調べる足がかりにはなったし、著者達のサイトを巡れば更なる情報も見つかるだろう。もう少し詳しくなってからもう一度熟読したい。図書館ではなく手元に置こうと思わされた一冊。


追記:
執筆内容修正分
http://hwbb.gyao.ne.jp/bossa-pk/teisei.html

*1:ボサノヴァ生誕は58年とされている

*2:無論彼らとてボサノヴァの影響を吸収してはいるが、本流とは全く関係ない。ついでに言えば"Wayne Shorter / Native Dancer"を入れないセンスを疑った