キンキーストリート

震えるスピーカーのコーンをずっと眺めていた。それを見ている間僕は無心になることができたからだ。何がかかっていたかは覚えていない。キンクスだとか、そういうものだっただろう。コーンは振動し、空気を伝わり耳を震わせる。僕は耳のことなど気にかけず、輪廓のぼやけたスピーカーを無心に、しかし冷静に眺めていた。