フランキーの話を

「先輩バンド組みましょうよ!」
人なつっこい笑顔で犬山は俺の眼前二センチまでずい、と迫ってきた。
「あぁ、バンド?」
「そうです!バンド名はフランキー・ゴーズ・トゥ・ボリウッド!」
どこかで聞いたことのあるような、ないような。などと考えるうちに犬山は眼前二ミリで接触スレスレだ。
「僕がタブラマシンやるんで先輩はマイク持ってウンウン唸ったり奇声上げたりしてください!」
背筋を反らして最大限犬山の顔から逃れる。何で俺がウンウン唸ったり奇声上げたりスベスベマンジュウガニ食ったりしなきゃならんのだ。
「先輩のことが好きだからです!」
ちゅっ。