自由なんだ

「俺は自由だ!俺は自由だ!」男は砂と鼻水でぐしゃぐしゃの笑顔を更にぐしゃぐしゃにしてぐしゃぐしゃと走り続けた。辺りは砂だけで、男の全身から発せられる自由に反応してくれる人間はいなかった。男は次第に泣き顔になり、やっぱり砂と鼻水、そして汗と涙で死んだパグみたいな表情でわめいて走った。
「誰か!俺は自由なんだよ!きいてくれよ!」
息を切らす男の前に両手を上げた影が見える
「おーい!自由だ!自由だ!」
男は影に抱きついた。全身針まみれで固定。男はサボテンと自由を分かち合って死んだ。