プラズマテレビ

俺は瞬間的にマッハパンチを繰り出し、音速の壁を越えた衝撃で空間は震え、テレビジョンの妖精は鼻血を吹きながら「すかぼろふぇあー!」と断末魔を残してきりもみ状スパイラルを形成しながら二軒向こうの杉山さん家の煙突に沈んでいった。俺の右手がばちり…

プラズマテレビ

ばち、ばちり、ばちりんこ。 ふざけた音を立てて俺のテレビジョン、薄型の、何やらプラズマを用いた、先日12回払いで買ったばかりの30万の、それがスパークした。スパークして、出てきた、人が、つい今しがた見ていた下卑たワイドショーの、芸能コメンテータ…

サカナ

「息が詰まるな。」 全くその通りだった。子供の時、父のシュノーケルを貸してもらって海で泳いだ時を思い出した。弁がついていて妙に息苦しい。呼吸を意識しなければならないのは文字通り息苦しかった。今私は人の海の中をシュノーケルをつけて泳いでいる。…

肉食いたい

おどおどしているうちにウェイトレス、一重で白い肌の整った顔立ちに虫歯の黒のコントラストが魅力を半減させているウェイトレスが席を案内。佐藤は喫煙席の一角へたどりついた。ウェイトレスが水を置き、「ご注文がきま」まで口にしたところで佐藤の左人指…

肉食いたい

あー、肉食いたい。肉が食べたいと強く念じた。空から肉は降りてこなかった。拝啓お袋様、東京の空から肉は降りてきません。仕方がない、どこか調理済みの肉を扱っている店に入り、代価を支払って肉を食う他無い。佐藤は覚悟を決めて、びっくりドンキーへそ…