乱文

ラジオから流れてくる陽気なブルーグラスとは反対に、僕の心は沈んでいた。まるで射精した後みたいに。いや、事実射精したのかもしれない。気になるなら確認してくれ。 それもこれもあの女のせいだ。いや、男なのかもしれない。そんな些細なことは関係無い。…

何が生えるのだろう

前歯の2本欠けた幼い少女がやけに膨らんで不健康そうなくまのある双鉾を湛えて健全な笑みを浮かべている。汗で湿りきった長髪をわしゃわしゃと掻く。それから髪を整えて、つばの無い帽子を深く被り、もう一度前歯の無い笑いを浮かべた。その少女の笑みは何も…

ブコウスキーとバックギャモンをする夢、それが俺の初夢だった。 一富士二鷹三ブコウスキーと言うように、これはかなり縁起が良い。だがブコウスキーは英語でデビルフィッシュと言われる通り、海外ではむしろ縁起が悪い。俺が初夢をミネソタ州で見ていたらヒ…

みさくら文科帰国子女

「あの、先輩ってどんな人が好みのタイプなんですか?」 「うーん、合コンに頭数合わせるために無理矢理連れられてきて、居酒屋で黙々とナンコツばっかり食べ続けて絡んでくる男を完全無視、二次会ですっかり出来上がった酔っぱらい共にしつこくカラオケを強…

星座をなぞるように

先生はサバイバルナイフをポケットから取り出すと、僕の眼の南半球の辺りに深々と突き刺し、ぐり、鼻へと進み、骨が切られ、そこから一気に下へ、すすす、喉笛は使い物にならくなり、ひゅーこ、ひゅーこ、吹き出すのは血で、僕は先生の笑顔に応えようと思っ…